【ベトナム手しごと職人道~その1~】黄金の手と称される刺繍職人に出会う
- Asia Kougei Sha
- 2023年4月1日
- 読了時間: 3分
更新日:2023年5月13日
「ベトナム手しごと職人道」は、私が出会ったベトナム各地のすばらしい手仕事を生業とする職人を紹介するコラムです。月1回の更新を目指します。
「ベトナムの手仕事」と聞くと、まず思い浮かぶのが「刺繍」ではないでしょうか。かわいらしい刺繍が入ったポーチや巾着など、街のいたるところでお土産として見かけます。
ハノイのランドマークでもある大教会からほど近くに「Quoc Su」という刺繍絵のお店があります。刺繍職人であり、美術協会からも「黄金の手」と称され、ベトナム最高峰の技をもつNguyễn Quốc Sự(グエン・クオック・スー)自身の作品や彼の技術を継承する家族や職人による作品がならんでいます。
作品はどれも圧巻の美しさで、植物の瑞々しさ、人や動物の躍動感、そして温もりが伝わり、見る人を魅了します。

Quoc Suはハノイ市内に2店舗あるほか、市内から約1時間ほどの場所に工房もあります。
工房にはQuoc Suさんもいるので、事前にアポをとり、伺ってみました。
1942年生まれで81歳になるQuoc Suさんは、13歳の時に刺繍を学び始めました。
工房があり、彼が生まれたThuong Tin県のThang Loi地域の近くにはQuat Dong(クアットドン)村があります。Quat Dong村はベトナム刺繍の祖と呼ばれるLê Công Hành/レ・コン・ハン[実名:Trần Quốc Khái(チャン・クオック・カイ)1606-1666]が生まれ、明朝で学んだ刺繍技術をベトナムに伝承した場所として知られています。
17世紀から脈々と伝承された技術を学んだQuoc Suさんは1958年に自身の工房を持ち、その家族や地域の職人と一緒に日々すばらしい作品を創り続けています。
まるで幼い頃からよく知っている親戚のように「よく来たね」と笑顔で迎えてくれるQuoc Suさん。
「まぁお茶でも飲みなさい」と悠々とした仕草で丁寧にお茶をいれてくれ、「ちょっと失礼」といって、ほろ苦い香りのする煙草で一服する様子には、はじめて来たのになぜか懐かしさを感じる郷愁であふれていました。
それから工房を案内してくれ、「今ここで刺繍しているのはみんな家族だよ。」と紹介してくれました。刺繍絵は簡単なものでも製作1カ月~、中には製作に数年を要する作品もあります。お客さんから作りたい作品のイメージ画像をいただき、その画像を見ながらひと針ひと針糸を通して陰影を確認しながらつくりあげます。
「この作品は陰影の表現が難しくて。ここの陰影はこの糸の色でいいと思いますか?」などQuoc Suさんにアドバイスを受ける様子も。
旧市街のお店ではじめて刺繍絵を見たときに受けた感銘は、この途方もないひとつひとつの作業を長い時間をかけて丁寧につくりあげる人があってこそのものだったのだなぁと実感しました。
ハノイを訪れたら、ぜひ刺繍絵に触れ、ベトナムの手仕事の世界を堪能してみるのはいかがでしょう。
店舗情報:
Quốc Sự / クオックスー
21B Lý Quốc Sự, Hoàn Kiếm, Hà Nội, Việt Nam
Tel: 024 3928 9281
9:00-19:00
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